【購入】住宅ローン審査は何を見られる?
住宅ローン審査の内容についてのコラムです。
別の記事[住宅ローンの流れと準備]こちらで、住宅ローン審査の時に必要な書類などの説明をしましたが、金融機関が行う住宅ローン審査は、一体なにを見て、何を基準に審査をするのでしょうか。
審査の時にチェックされる内容について解説していきます。
ローン審査はココを見ている!
年収
もっとも分かりやすく、当然審査の際にチェックされるのが年収です。
年収といっても手取りの金額ではありません。
会社員の場合は、源泉徴収票に記載されている「支払金額」に記載された数字だと考えれば良いです。
(確定申告している場合は確定申告書の「所得金額」の「合計」の数字です。)
金融機関はこの年収から、希望する借入に対する返済能力があるかどうかを審査します。
「年収の○倍まで」(年収倍率)や「年収の○○%の返済」(返済比率)までといった基準がありますが、これは金融機関によって異なります。
年収については住宅ローン審査上では単純に高ければ高いほど良いですが、当然他の要素も含めて審査されますので詳しくは後ほど記載します。
仕事(勤務先、勤続年数など)
会社員の方であれば、会社の規模(資本金、従業員数など)や勤続年数、給与形態などが審査されます。
こちらも当然、会社の規模が大きいほど審査には良く影響し、勤続年数も長いほど安定していると見られ有利にはたらきます。
給与形態については、固定給であればその全額を安定した収入として考慮してくれます。歩合給がある場合や、日給月給の場合は、額面通りの年収よりも弱くみられるケースがあります。
勤続年数は多くの金融機関が1年以上あることを取り扱いの条件としています。
(1年未満でも取り扱い可能な金融機関もあります)
自営業・個人事業主の方は、事業の内容や、事業の継続年数などが見られます。
自営業・個人事業主の場合、最低でも事業開始から3期分の確定申告書の提出が必要とされます。
経営者・会社役員の方は、個人の年収と、会社の決算書の内容がチェックされます。
自営業・個人事業主と同様に、最低でも3期分の決算書の提出が必要とされます。
年齢
住宅ローンには、金融機関によって若干異なるものの最終返済日が80歳未満であることなどの年齢が関係する条件があります。
そのため、年齢によっては返済期間を35年よりも短く設定する必要があり、それによって審査の計算に影響があります。
短い期間になるほど、月々の返済額は高くなるためそれに見合った年収が求められるという具合です。
また、仕事をしている場合でも20歳未満は住宅ローンを組むことが出来ません。
既存の借入
住宅ローンの審査時には、住宅ローン以外で現在返済中のローンや借入も確認されます。
マイカーローン・教育資金ローン・クレジットカードの分割払いやリボ払い・キャッシング・カードローンなどの有無や、借入額・残債・月々返済額などを申告する必要があります。
このうち、奨学金(学生支援機構)については計算から除外される金融機関が多いです。
年収に対し、現在のローンの返済と新たに増える住宅ローンの返済が適切かどうかを審査されます。
個人信用情報
個人信用情報とは何かというと、現在に至るまでの借入と返済状況の履歴のようなものだと考えると分かりやすいです。
略して「個信」とも言います。
過去にどんな借入をして、どう返済をしているかといった内容の事が、各借入やクレカごとに個人信用情報を取り扱う機関に保管されています。
住宅ローン審査をする金融機関は、個人信用情報を照会し過去に支払いの遅れや踏み倒しをしていないか、債務整理や自己破産をしていないか等の確認を行います。
また、現在返済中の借入についても全て確認することが出来るので、審査書類の提出時に申告された内容に偽りがないかもチェックしています。
金融機関の中には、申告の内容と個人信用情報に大きな相違があった時点で不承認とする金融機関もありますので正しく申告しましょう。
家族構成
家族構成というよりは、既婚者か独身か、子供がいるかなどですが、購入した住宅に誰が住むのかといった部分も審査に影響があります。
最近の住宅ローンの審査では、独身者には厳しめに審査されることが多いです。
これは、投資目的で一戸建てやマンションを購入する方が近年増えているという事もあり、本人にそういう意図があるかどうかは別として、独身者というだけで少し厳しめに見られるケースが多くあります。
(住宅ローンはあくまでも自己居住用不動産に対する金融商品なので、投資目的の購入には融資しません。)
一方で、既婚者やファミリーは居住目的で住宅購入をする動機があると見なされます。
シングルマザーやシングルファザーも同様で、独身者よりも審査上は強くみられます。
住宅購入をする必然性があるほど、審査では有利といった考え方です。
頭金・自己資金
購入にあたって頭金(自己資金)を用意できるかといった部分も、当然審査に影響してきます。
結論からいうと、無いからと言って審査に通らないわけではありませんが、あればあるだけプラスになります。
また、実際に購入にその資金を充てるかどうかは別として、預貯金があるならそれも隠さず申告した方がプラスになります。
現時点の生活で余裕があれば、それだけ住宅ローンの返済にも余裕が生まれるから当然ですね。
ローン審査は「総合的判断」
例を出して計算してみます
どういった要素が審査の時にチェックされるのかといった内容を書いてきましたが、具体的にはどういった計算がされるのでしょうか。
細かい判断基準は金融機関によって異なるので、あくまでも一例として計算をしてみます。
~ 会社員Aさん ~
年齢 32歳
年収 450万円
借入 車のローン(月々2万円)
~ B銀行 ~
返済比率 35%まで
年収倍率 7倍まで
審査金利 3.0%
AさんがB銀行に借入額2700万円・期間35年の住宅ローン審査を申し込んだ場合で計算していきます。
①返済比率30%について…
返済比率とは、年収に対して返済に当てて良い金額という意味です。(金融機関によって数字が異なります)
このケースの場合、
450万円 × 35% = 157.5万円
となります。
つまりAさんは、年間147万円の返済に収まるような住宅ローンなら組めるという計算になります。
ただし、Aさんにはすでに車のローンがありますので、ここから車のローンの分を引き算します。
すると
157.5万円 ー (月2万円 × 12カ月)= 133.5万円
こうなります。
①の計算は一旦ここで終わります。
②審査金利3.0%について…
住宅ローンの審査では、実際に貸付される金利とはべつに審査の計算でのみ用いられる審査金利があります。(金融機関によって異なります)
この場合、
2700万円・35年・3.0%で計算すると、
月々103,909円
となり、年に直すと
103,909 × 12カ月 = 年間124万6908円
となります。
②の計算もいったんここで終わります。
最後に①に②が収まっているかどうかの計算をします。
①133万5000円 ー ②124万6908円
はプラスになるので、収まっていることになります。
また、年収倍率7倍の方も計算すると、
450万円 × 7倍 = 3,150万円
となるので、こちらも借入額が収まっています。
この計算では、Aさんは問題なく住宅ローンの審査を通過できそうです。
ただし、住宅ローン審査は総合的判断なので、この計算に、家族構成、勤務先の規模などが加えて審査されます。
一般的には数値化できないこの部分は、金融機関ごとに独自のスコアリング(採点)がされており、その部分はオープンにされていないのでここでは省略しています。
また、万が一Aさんの過去に債務事故があった場合、計算上はクリアしていても審査に通らない可能性があります。
収入合算という選択肢
上では単独で住宅ローンを組むケースで計算をしましたが、夫婦共働きの場合などは収入合算といって、二人の収入を合計して計算することができます。
収入合算する際の条件は金融機関によってさまざまで、
・パート勤務でも可
・メインの方と同様に正社員なら可
・年収の50%まで合算
・年収の全額を合算
などが異なります。
また、収入と同様に返済中の借入がある場合は、借入も合算して計算することになります。
そのため、合算者の収入に対して返済額が大きい場合にはかえってマイナスになるケースもあります。
また、収入合算で審査を通し、住宅ローン借入をした場合の合算者の扱いも金融機関によって異なります。
収入合算者は…
→連帯保証人になる
→連帯債務者になる
→計算上登場するだけでどちらにもならない
などです。
連帯保証・連帯債務などについては、かなりボリュームが出てしまうので別の記事で書きます。
まとめ
例として出した計算のように大まかな計算方法などは挙げられるものの、住宅ローン審査は金融機関によって考え方や基準が異なる部分が多いです。
しかし、あくまでも総合的判断なので、例えば、
「車のローンがあるから」
「シングルマザーだから」
などの一つの理由だけで審査に落ちることはほぼありません。
個人信用情報に残った過去の債務事故だけはかなり厳しく見られますが、これも年数が経過したものについては、A銀行はダメだったけどB銀行は通ったというケースもあります。
当社ではお客様一人ひとり、個別で住宅ローン相談を行っておりますので、詳しい内容はご相談していただけると幸いです。